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埼玉県精神科病院協会会長  菅野 隆  一昨年、急逝されました山口現朗会長の後を受け、第8代会長に就任致しまして早くも1年が過ぎ、本年度も埼玉県精神科病院協会会長、日本精神科病院協会埼玉県支部長及び埼玉県精神神経科医会会長を拝命致しました。昨年度は、東北地方太平洋沖地震の対応で各協会病院に於かれましては、埼玉精神科病院協会の支援活動に多大なるご協力を賜りまして厚く御礼を申し上げます。

 本年度は、理事に高橋太郎先生、林文明先生を選任し、新たに山口滝太先生を理事に喜多みどり先生、守屋朝夫先生を監事に計3名の先生方をお迎え致しまして、これまで通り埼玉県の精神科医療の諸問題に対処して参りたいと存じます。
 先般、平成24年度の診療報酬改定が行われました。全体では、プラス改定でありますが薬価の引き下げや栄養管理加算の入院基本料への包括化や管理栄養士の常勤化など、マイナス改定ととらえられる項目もあり、大きく期待できるものではありませんが、医療制度の今後の方向性が打ち出されたものと考え、柔軟に対応していくことが急務です。精神科領域においては、診療報酬改定の重点課題である「医療と介護の役割分担の明確化と地域における連携体制の強化及び在宅医療等の充実」があげられ「病院から地域へ」という政府の姿勢が色濃く出ております。

 「病院から地域へ」という方向性は、平成18年に公布された「自殺対策基本法」を受け平成23年に厚生労働省が一部の有識者を集め「こころの健康対策構想会議」で示されアウトリーチが取り上げられたことは記憶に新しいと思います。その中で、政府はアウトリーチの取り組みとして平成23年度に予算化し開始致しましたが、精神科医・他職種にわたるコメディカルスタッフ等を要する組織の24時間対応など、実施に向けてはハードルの高い組織を前提とし、年間7億円(各都道府県別に按分すると約1400万円)の予算で展開されました。具体的に、昨年度実施した内容ついての評価は判りかねますが、病床数と在院日数削減という答えありきではじめられた方策であり、実務は伴っていないのは周知の事実であるかと思われます。そもそも、アウトリーチはイギリスのブレア政権の基で行われた自殺対策で、初期投資額で2800億円を費やし自殺者数減少に効果を上げたもので、わが国では対策全体の取り組みを模倣し、そのまま「アウトリーチ」という言葉だけ導入され、人的リソースや予算の十分な検討がないまま、結果的に今回の診療報酬に反映されたようにも捉えられます。「こころの健康対策構想会議」では日本精神科病院協会からのメンバーは参画しておらず、政府が参集した有識者が示したアウトリーチと病床数を天秤にかける考え方は、全く理解できません。先般、近隣の行政機関を訪ねた際、福祉系の職員が「先生の病院には何人ぐらい入院の必要のない患者さんがいますか??」という全く行政の福祉担当の資質を疑う質問をされまして、甚だ遺憾でありました。行政職員は当然政府の指導に沿った行動をすることは当然かと思われますが、答えありきで医療機関に接してもらっては、精神科医医療に関する地域連携そのものが崩壊してしまうのかと危惧されます。

 我々が行うアウトリーチは医療的なアウトリーチであり、医師の指導の基、本人の受療意志の確認を行った患者が対象で、通院治療中における病状の変化への対応や、家族への指導を行います。今回の改定では、アウトリーチに関わる精神科訪問看護の充実など訪問看護の適応がより細分化され、30分未満の訪問や准看護師による訪問看護が新設など、精神科病院が積極的に取り組める機会が来たものと捉え「病院から地域へ」向けた医療的なアウトリーチに取り組んでいきたいと考えます。行政機関の福祉担当に於いては、未治療患者や治療中断者など、双方間での合意のない在宅訪問治療促進に向け、地域的保健的なアプローチをして活動して頂き、医療機関との連携に努めてもらいたいと考えます。

 又、今回の診療報酬改定では地域連携など身体合併症患者の対応など具体的に連携加算等が示されたことは、地域医療連携を積極的に進める方向性が示されたものと思われます。精神科領域においては、自殺対策で不眠に着目した「富士市モデル」では一般科診療所と精神科医療機関の連携が重要であることが指摘されております。そんな中、昨年末に埼玉県の精神科領域における医療関係者が一堂に会する機会がありました。埼玉県の精神科医療に対し多大なる貢献並びに、当協会もご指導ご鞭撻を賜っております山内俊雄先生が、埼玉医大名誉学長に御就任されました。ご就任にあたり、当協会が主催となり埼玉精神科診療所協会 会長鈴木仁史先生、埼玉医科大 豊嶋良一先生、防衛医大 野村総一郎先生をはじめ埼玉県の精神科医療の発展に日頃より深く関わる錚々たる先生方を、お招き致しまして盛大に御就任祝いを催しました。日頃は、会議等で意見を交わしたりする程度かと存じますが、ご出席の諸先生方から埼玉県の精神科医療の発展について大変貴重なご意見を拝聴致しました。個人的には埼玉県の精神科領域においては、着実に病診連携を築く基礎が出来たことと確信いたしまして、今後も埼玉県の精神科医療機関連携を更に強固にする為、山内俊雄先生の御指導を賜りまして、今後も会を重ねて参りたいと考えております。

 当協会は、平成26年4月1日付で、「一般社団法人 埼玉県精神科病院協会」を設立致しました。これもひとえに関係各位のご支援ご厚情の賜物と深く感謝申し上げます。